20260901更新
20250409公開開始
ロサンゼルス(390万人)
-
ロサンゼルス(LA)市は、カリフォルニア州南部に位置し、ニューヨークに次ぐ全米2位の大都市で人口は390万人である。ロサンゼルス・カウンティに属しているが、隣接するオレンジ・カウンティなどとともにLA都市圏を形成しており、都市圏としての人口は1,300万人である。
-
LA都市圏や隣接するサンディエゴ都市圏には、都市用水需要に対応できる大規模な河川が近くにはなく、水資源開発のためには、かなりの規模での広域的な解決が必要であった。実際、LA都市圏とサンディエゴ都市圏の水問題は、流域外のコロラド川や、カリフォルニア州の中央部を占める平原全体(セントラル・バレーCV:Central Valley)を含めて広域解決されることとなった。
-
コロラド川からの導水事業は、1920年代から行われていた連邦政府によるコロラド川総合開発事業の関連事業として、MWDの設立とあわせて実行された。
-
CVの水資源開発事業は、水源開発は連邦政府レベルで、導水事業は州政府レベルで実行に移された。
ロサンゼルス・カウンティとロサンゼルス市の位置図

オレンジ・カウンティの位置図

サンディエゴ・カウンティとサンディエゴ市の位置図

カリフォルニア南部広域水道:
MWD:Metropolitan Water District of Southern California
-
MWDは、ロサンゼルス都市圏と、隣接するサンディエゴ都市圏まで含めたカリフォルニア州南部の水需要に対処するため、コロラド導水路を建設、運転することを目的として、ロサンゼルス市などを中心に1928年に設立された。
-
MWDは、MetとかMetropolitanとかMWDと略称されており、14市、11自治体の水道、1カウンティの26水道事業者で構成され、13,000 km2の区域内の1,900万人に水道用水を供給している全米最大の広域水道である。
-
MWDは、水源、浄水施設、配水管網当広範な施設を所有、運転している。3つの巨大なダム湖、6つの小規模な貯水池、1300kmの幹線管路網、厚生団体との400の受水点、16の水力発電施設、5つの浄水場などである。
-
MWDは以下の水源を有している。
-
州政府導水事業SWPからカリフォルニア導水路を通じて、需要量の平均30%程度を受水
-
MWD自身のコロラド導水路を通じて、需要量の20-25%を受水。同導水路は延長約400kmで、水路、トンネル、サイフォン等で構成されている。
-
残りは地域内の自己水源である。地下水、雨水貯留水、海水淡水化水、そしてリサイクル水などである。
-
-
MWDは、2023年、コロラド導水を減らし、SWPからの導水を増やすため2つの新事業を承認した。
-
州政府導水事業SWPのうち、デルタ地域(サクラメント-サンホアン地域)の取水・導水施設の近代化計画の立案を支援する事業
-
このデルタ地域における、水質改善、生物多様性の保全強化、海水面上昇や地震問題などの警鐘などに関する活動を支援する事業
-
-
州政府も、2023年、1949年以来の最小導水量までコロラド導水を減らす措置をとった。これは水利用の効率化と農村部との協力の賜であり、都市住民にも農民にも利益をもたらした。年々ひどくなっていく干ばつに直面し、MWDは、他の州や水道事業者と協力しながら、需要量の低減と水への信頼回復を図っている。
MWDの給水系統

ロサンゼルス水道に関連する遠距離導水路

コロラド導水から受水している水道事業者


ロサンゼルス・カウンティの上下水道
-
LAカウンティ内の水道は、その多くを遠距離導水に頼っているが、域内の地下水と山岳部の雨水などを利用した表流水の水源もある。また、下水処理水の再利用も進められている。
【域内地下水】
-
LAカウンティ内においては、地下水の割合はかなり多い。地下水源の流域の対部分は裁判所命令などによって規制が行われている。地下水は自然涵養だけでは十分でないため、川やクリークの水を砂質の地域に散水するなどの人工的な涵養も行われている。
【域内表流水】
-
ロサンゼルス川
-
ロサンゼルス川は、San Fernando地域のBell Creek・Arroyo Calabasas一帯を源とし、80km程流れた後、Burbank市を抜けて南西方向に流れ、最終的にはLong Beachまで南下している。もともとはロサンゼルス川はロサンゼルス市の水源になっていたが、今日では、基本的には、雨水やサンタモニカなどからの都市下水の排水路となってしまっている。
-
この川に取水権を持つのはパサデナ市とロサンゼルス市などである。パサデナ市がArroyo Secoに有する水利権は0.7m3/sであるが、この権利は、河川の流況、天候、地下水の涵養状況に応じて大きく変動する。ロサンゼルス市の水利権にはそのような制限はないが、それでも、San Fernando地域のあちらこちらで地下水注入による涵養を実施している。
-
-
San Gabriel川
-
San Gabriel川は、San Gabriel山岳地帯を源とし、南西に120km程流れた後、Whittier Narrows からSeal Beach 市まで南下して、太平洋に注いでいる。ロサンゼルス川と違って、San Gabriel川は全域にわたって自然の透水層になっている。雨水、San Gabriel山岳地帯からの流水、都市下水、下水処理場の排水などがそのベースフローとなっているが、そのかなりの量が河床を通じて地下水を自然に涵養している。、また、いくつかの地域では、人工的な地下水注入が行われている。乾燥期には、ダムからの放流もあり、流量制御がかなり行われている。
-
【遠距離導水】
-
州水資源開発事業SWP(「西部」ページのSWPの項参照)
-
SWPは、San Joaquin盆地の灌漑用水を提供するとともに、ロサンゼルス都市圏やサンディエゴ市の都市用水の主たる水源となっており、カリフォルニア州政府水資源局によって運転されている。
-
-
-
カリフォルニア州はコロラド導水に54億m3/年の取水権を持っている。水の大部分はカリフォルニア州南東部の灌漑用水で都市用水の重要な水源でもある。
-
都市用水はコロラド導水路を経て、MWDが、州南部の1,800万人を対象として用水供給事業を行っている。
-
-
ロサンゼルス導水(「西部」ページのロサンゼルス導水の項参照)
-
ロサンゼルス導水は、Owens川、Mono湖流域、Sierra山脈南部の東側斜面にある複数の貯水池から導水しているもので、LA市が建設したものである。
-
延長350kmの第1水路は1913年に完成したものである。第2水路は1970年に完成したもので、能力は第1水路の50%である。2つの水路でLA市に160万m3/日の水を送水している。
-
【下水処理水の再利用】
-
下水処理水の再利用水は州政府の厳しい水質基準に基づいて処理され、また、自治体、州政府、連邦政府によって厳格に監視されている。このため再利用水は、灌漑、産業、農業用として安全な水となっている。最近では先進技術により、蒸留水に近い水も生産できるようになり、地下水への注入水としても使われるようになっている。
Los Angeles川

San Gabriel川

ロサンゼルス市水道
LADWP:Los Angeles Department of Water and Power
-
LA市内の末端事業は、同市電気水道局LADWP:Los Angeles Department of Water and Powerが経営している。LADWPは、発電能力8,100MW、最大給水量170万m3/日を有し、近隣都市を含め、400万人以上に、電気と水道のサービスを提供している。LADWPは、先ず1902年、水道供給のために設立され、1917年には、市の一部に電気も供給するLADWPとして組織変更された。
-
ロサンゼルス導水、域内地下水、MWDからの受水がロサンゼルス市水道の主要な水源である。MWDの水はCVPとSWPを通じて給水されている。Operation NEXT等の再生水供給事業は着々と進んでおり、ロサンゼルス水道の各種水源の中で大きな役割を占めつつある。地下水涵養注入のための雨水集水プロジェクトも推進されつつある。
ロサンゼルス導水事業におけるLADWPの資産

ロサンゼルス・カウンティの下水道
LACSD:Los Angeles County Sanitation Districts
-
LACSD:Los Angeles County Sanitation Districtsは、下水を再利用水やエネルギーのような有価物に変えることを主たる目的とした下水道事業者の組合であり、LAカウンティ内の24の下水道事業者から構成されている。そのサービス区域の面積は2,200km2、対象人口は550万人である。
-
LACSDは下水道事業を目的として1922年に設立された。現在、LACSDは、220kmの下水管路、49のポンプ場、11の処理施設を運転管理している。これらの施設は、LAカウンティの下水の半分150万m3/日を処理しており、LACSDは全米最大の下水の処理、再利用事業者となっている。
-
1950年代には、ごみ処理(収集は除く)、有害廃棄物の処理なども行うようになった。
-
LACSDは、グリーンエネルギーと水の再利用における革新者である。67MWの発電をしており、これは、6.7万世帯の電気を賄うことができる。
-
再利用水は38万m3/日を生産しているが、これは、地下水涵養、灌漑、農業、産業用水など850か所以上で、再利用されている。これはカリフォルニア南部地域の34万人の飲み水に相当する。
-
なお、LAカウンティの公共事業局CSMD:Consolidated Sewer Maintenance District of Los Angeles Countyは、LAカウンティの行政所管区域外(Marina del Reyを除く)の50万以上の集落、37都市(他に2契約都市)等の200万人以上に対する下水道サービスを提供しており、7,500kmの下水管、155のポンプ場、4の下水処理場を持っている。
CSMD:Los Angeles County Sanitation Districts
