20260114更新
20250409公開開始
ツーソン(54万人)
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ツーソン市は、フェニックス市(160万人)・メサ市(50万人)と同様、砂漠地帯という類似した環境に置かれており、水道は似たような状況下にある。
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ただしフェニックス都市圏には、SRP導水:Salt River Project(ソルト川)とCAP導水:Central Arizona Project(コロラド川)の2系統で導水しているのに対し、ツーソン水道の場合は、後者しかないため、表流水と地下水を総合的に管理するユニークな循環利用を行っている。
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ツーソン水道は、コロラド川の水をCAP導水路を通じて市内に供給しているが、それを循環利用している。Avra渓谷から市西部にかけての帯水層に地下水涵養注入を行い、Pima Mine Road注入事業(RMRRP)で、もともとの地下水と混合される。この混合水は、稼働中の井戸水源の取水量の増量に使われ、市内の住民や事業所に送水される。
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下水は、Pimaカウンティの下水処理場で処理されるが、処理後、処理水の一部は、飲料水用の水道とは別系統の再生水専用水道により、散水用など非飲料用に給水されている。将来需要のために地域内の帯水層に地下水注入される分もある。再生水専用水道には、各種の汚染物質を追加的に除去する3次処理を施した特別な地下水が使われている。
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雨水は、ツーソン市内全域で、修景用水の補充用として各家庭で貯留されている。
アリゾナ州の位置図

アリゾナ州内でのツーソン市の位置図

ツーソン水道:表流水水源
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ツーソン水道は、地理的に乾燥地域にあるため、水源確保に苦労してきている。ツーソン地域にはSanta Cruz川が流れていて、1880年頃まではSanta Cruz川を主たる水源としていた。しかしその後、ツーソン市の都市開発の進展とともに域内地下水の取水量が増えたため、地下水位が低下し、川の水が消えてしまった。今日では、この水系では大雨の後と周辺の山の雪解け水の季節に流れが現れるのみである。
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1990年代になって、ツーソン市はCAP導水量の10%の1.7億m3/年の権利を確保し、初めて、CAPから受水することとなった。市にとっては、現在、コロラド川のみが常時使える水源になっている。
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ツーソン水道の現在の水源内訳をみると、83%の水がコロラド川で、その他は、下水処理水の再生水、地下水涵養注入、雨水集水である。下水処理水の再生水は全体の13%である。そのほか地下水を高度処理した水の供給も4%ある。これはツーソン空港への給水事業で、TARP:Tuson Airport Remediation Project(ツーソン空港高度処理プロジェクト)と呼ばれている。
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CAPの水源になっているコロラド水系の方は、この23年間、気候変動等により旱魃が続いている。2000年以来、流量は20%減少し、パウエル湖もミード湖も貯水量が激減しており、コロラド川の下流域においても、史上初めての渇水宣言がなされた。
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コロラド川の分水協定は、もともと、平均的な流量に対して過剰に取水権量が配分しているのではないかと疑われてきた。このため、パウエル湖とミード湖の歴史的な水位低下のリスクを減らすことを目的として、流域7州は、自主的な節水と効率的な水利用の推進に関して、2023年3月、重要な合意に達した。
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この合意は、流域の下流3州(アリゾナ、カリフォルニア、ネバダ)は2026年度末までに37億m3の取水削減を行うというものであった。これに基づきツーソン市も、連邦政府からの補助金を得て、2023年からコロラドの取水権のうちのかなりの部分を放棄することとなった。
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コロラド川の将来の利水管理については、連邦政府、アリゾナ州政府の間で協議が進められており、2026年末までには、内務省長官から新しい利水ガイドラインが策定されることになる。
ツーソン水道の水源内訳(2022)
