20251019更新
20250409公開開始
アリゾナ州の地下水規制:AMAとINA
(Active Management Areas Irrigation Non-Expansion Areas)
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アリゾナ州の「1890年地下水規制法」は、経済の成長を支援するため、地下水資源の積極的管理を行うことを目的としている。主に都市部においては、地下水への依存度が高い地域をAMA区域:Active Management Areasと指定し、その区域内での地下水取水を規制し、主に農村部においては、地下水を利用した灌漑に対する土地をINA区域:Irrigation Non-Expansion Areasと指定し、その区域内での地下水取水を規制することとしている。
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現在、AMA区域として、Prescott, Phoenix, Pinal, Tucson, Santa Cruz, Douglasの6カウンティが指定されている。指定されたAMA区域では、それぞれ、その地域の特性や利水者の実情に応じて定められる目標を設定した地下水保全プログラムを実行しなければならない。
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Phoenix, Prescott, Tucsonの3つのAMA区域の目標は、新規取水が、既存取水量のうち毎年更新される分を上回らないという「safe-yield」の目標となっている。Pinal AMA区域の目標は、区域が基本的に農業地帯であることから、将来の飲料水等の非灌漑用水の確保を考慮し、現状水準を維持するという目標が掲げられている。Santa Cruz AMA区域の目標は「safe-yield」目標と、地域内の地下水位の長期的低下をきたさないという目標の2つの目標が掲げられている。
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INA区域における規制は、灌漑用水として地下水取水する場合のメータの設置、水資源局への届出義務、年1回の報告義務などである。現在、INA区域としては3つの区域が指定されている。
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Joseph市とDouglasの2つのINA区域においては、1975年1月1日から1980年1月1日までの間、法的に灌漑可能な土地については継続して灌漑可能であるとされている。もう1か所のHarquahala INA区域においては、灌漑の権利のある期間は1976年1月6日から1981年1月6日までである。ただし、灌漑施設に対して相当量の投資を実行していると、アリゾナ州政府水資源局長が認める場合は、灌漑可能であるというような規制となっている。
 
【フェニックス都市圏の州規制への対応】
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1993年、アリゾナ州法により、CAP導水地域内の3カウンティ(Maricopa・Pinal・Pima)がAMAとして指定された。この州法に基づいて、「中央アリゾナ地下水再生事業団CAGRD:Central Arizona Water Conservation District」が設立され、地下水保全の役割を果たすこととなった。
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CAGRDの任務は、農業者や水道事業者に対し、アリゾナ州の水道法令遵守規則に適合していることを証明する手法を提供することである。同規則においては、地下水を利用する水道事業者は、その地下水が100年間維持できなくはないことを証明すべきことが規定されている。即ち、その区域内の一部または全部で地下水を取水している水道事業者は、取水井戸の水源となっている地下水は持続性があるという評価を、CAGRDから取得する必要がある。
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その持続性評価を得た取水井戸も、未来永劫、有効なわけではない。その場合、その水道事業者は取水できなくなるが、それでも、CAGRDの構成団体になると、その地域で地下水位の低下が起こっていたとしても、お金を払って、再生可能な地下水を得ることができる仕組みになっている。このため、CAGRDの構成団体には大きな変化がもたらされている。
 
アリゾナ州の地下水規制区域
