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ワシントンDC(68万人)

  • ワシントンDCはアメリカ合衆国の首都であるが、これは通称で、正式には、コロンビア特別区( District of Columbia)と呼ばれる。アメリカ合衆国東部に位置する連邦直轄地で、東海岸、メリーランド州とバージニア州に挟まれたポトマック川河畔に位置している。

  • 人口は67.9万人だが、昼間人口は人口100万を超える。ワシントンDCを中心に、メリーランド州、バージニア州北部、ウェストバージニア州の最東部2郡を併せた地域を一般に「首都圏」または「メトロポリタン」と呼んでいるが、その人口は56万人である。また、北東に約65キロメートルの地には人口62万人を抱えるメリーランド州の最大都市ボルチモアが位置している。このボルチモアといわゆる首都圏を併せたワシントン・ボルチモア・北バージニア広域都市圏の人口は86万人を数え、全米4位の規模である。

  • アメリカ合衆国憲法第1条により、各州とは別に、恒久的な首都としての役割を果たすため、連邦の管轄する区域が与えられている。アメリカ合衆国三権機関(大統領官邸(「ホワイトハウス」)、連邦議会(議会議事堂)、連邦最高裁判所)が所在し連邦機関が集まる。

  • 連邦議会がワシントンDCにおける権限を有している。連邦議会に関してワシントンDCは、下院に本会議での投票権を持たない市代表(代議員)を選出しているものの、上院議員の議席は与えられていない。

  • ワシントンDCは、全部で177 km2の市域を有している。当初、260 km2(100平方マイル) の面積を有していたが、1846年に南の一部をバージニア州に返還したため、この面積となっている。現在の市域は、メリーランド州から割譲された領域のみから成っている。そのため、ワシントンDCは南東・北東・北西をメリーランド州に、南西をバージニア州に囲まれている。

 

 地方政府と地方政治

  • アメリカ合衆国憲法1条8節17項は、合衆国の連邦議会に、ワシントンDCに対する最高の権限を与えている。1973年のコロンビア特別区地方自治法により、連邦議会の一定の権限が特別区のワシントンDC地方政府に委譲され、同政府は、ワシントンDCの首長であるコロンビア特別区長と、条例制定権を有する地方議会のコロンビア特別区議会(定数13議席)によって運営されることとなった。もっとも、連邦議会は、コロンビア特別区議会の作った法律を審査・破棄し、またワシントンDC地方自治の問題について介入する権限を有している。

  • 8つの選挙区ごとに1人の市議会議員が選ばれ、これとは別に全域から議長を含む5人の議員が選ばれる。また、小地区ごとに、地区諮問委員会 (ANC) の37人の委員が選挙される。ANC は伝統的に多大な影響力を行使しており、市政府は ANC の助言に十分に配慮するのが通例である。

  • ワシントンDC市長とコロンビア特別区議会が予算を採択したとき、連邦議会はそれを変更する権限を有している。地方の所得税、売上税及び資産税が、市政府の部局や行政サービスに当てるための収入の大部分を占める。50州と同様、ワシントンDCは老齢者医療保険制度 (Medicare) のような連邦政府補助金プログラムからの資金を受けている。

  • 連邦議会はこのほかに、市の経費の一部を補助するため、資金を直接交付しており、これは2007年度では3800万ドル(DCの予算の約0.5%)となっている。しかし、これらの資金提供とは別に、連邦政府が特別区裁判所(2008年で2億7200万ドルの予算)や、連邦公園警察のような連邦警察機構を運営しており、これらが市の治安の維持に貢献している。

  • 歴史的には、市の地方政府は失策や浪費で悪名を得てきており、特にマリオン・バリー市長の時代はこれが顕著だった。1997年7月20日のワシントン・ポスト紙は、1面記事で、ワシントンDCの行政サービスは全国でもコストが最高で質は最低だと報じた。アンソニー・ウィリアムス市長の時代になって成功を見るようになり、都市の再生も進み、1990年代に財政の黒字化も実現し、それが今日まで続いている。

  • ワシントンDCは、すべての連邦の休日 (Federal holiday) に従っている。そのほかに、1862年(奴隷解放宣言の9か月前)に奴隷解放補償法がエイブラハム・リンカーン大統領によって署名されたのを記念して、4月16日の奴隷解放記念日を祝日としている。この法律により、DCでの奴隷制は終わりを迎え、およそ3100人の奴隷が解放された。

ワシントンDC市の位置

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ワシントンDC上下水道:概要

運営

  • 11人の理事がDC水道の運営を担っている。その内訳は、DC市域の代表が6人、Prince George、Montgomeryの各カウンティの代表が2人づつ、Fairfaxカウンティの代表が1人である。それぞれの地域は、Blue Plains高度処理施設の管理、容量分担、負担割合等に関する協定に参加している。

  • 1996年にDC水道が設立された時から、もともと、その投資予算の調達はDC市本体のそれとは別だった。しかし、資金調達、工事、人事に関してのDC水道の独立性については、「DC水道経営の独立性に関する2008年法」によって、明示的に確認された。

運転管理

【Dalecarlia浄水場】

  • 1996年にDC水道が設立された時から、もともと、その投資予算の調達はDC市本体のそれとは別だった。しかし、資金調達、工事、人事に関してのDC水道の独立性については、「DC水道経営の独立性に関する2008年法」によって、明示的に確認された。総裁・CEOは、その運転管理に責任を持ち、理事長にレポートする。現在の総裁・CEOはDavid L. Gadisである。

  • DC水道は、陸軍工兵隊ワシントン導水部から浄水を購入している。ワシントン導水はDC市北部、ポトマック川のGreat Falls及びLittle Fallsを水源とし、それを浄水し、市内の2100kmの管路網を通じて、配水している。

  • DC水道は、また、2,900 kmの下水管路と、Blue Plains高度処理施設も運転管理している。この処理場は、DC市の南端部でポトマック川に放流している。

 

賞の受賞

  • 全米下水道事業者協会ACWA: The National Association of Clean Water Agenciesは、DC下水道に対して、革新的処理技術賞を授与した。この賞は、肥料化や下水処理技術の分野で貢献した会員団体に、毎年、贈られるものである。

  • この研究は、直営実施(または、会員団体との直接契約の下で実施している請負業者による実施)によって、完遂されなければならない。DC下水道の革新的技術は、下水処理水が排出される運河や水路の水生生物の環境保護という観点から、地球規模の影響を及ぼすことは確実である。DC下水道は、2010年、2年連続でこの賞に輝いた。

 

財務

  • 料金は上下水道サービスのコストをカバーしている。料金の50%少々が運転管理費のコスト相当で、25%相当が老朽施設の更新のような建設改良分相当である。建設改良工事にはEPAの環境規制に適合するための工事も含まれている。このような工事は、連邦政府の規制に起因するものであるのに、その財源は明示されていない。建設改良工事については、空気清浄法、安全飲料水法等その他の法律に基づいて若干の補助金は来るものの、その大部分のコストは料金に転嫁されることになる。

 

環境保護活動

  • 1980年代中頃からBlue Plains処理場は、基本的には、ポトマック川の水質目標を達成するため、併せて、チェサピーク湾の環境回復のために、リン除去を行ってきた。1987年締結のチェサピーク湾協定は、同湾に流入する河川や水路に排出される窒素除去の対策の第1歩であった。同協定は、沿岸の2州とDC市は自主的な努力で、1985年を基準として、窒素分を40%削減することを約束するものであった。Blue Plains処理場は、この目標達成のために最初に建設された施設である。さらに、生物処理による脱窒技術BNP:Biological Nitrogen Removalのプラントも、逐次、建設され、2000年に完成したため、40%削減という目標を、毎年、クリアしてきている。2009年度においては、このプラントによる窒素削減率は58%に達している。

  • DC市と連邦政府EPAは、2010年から適用されるNPDES排出基準に基づいて、窒素分を2,100トン/年まで低減させるという新たな目標について合意した。DC下水道は、この目標を達成するため、1000億円以上をかけて新たな高度窒素除去施設を建設することとした。

  • 一方、水路では、DC下水道は、Anacostia川とPotomac川において、浮遊ゴミを除去する船を、毎日(平日のみ)、運転している。これによって、毎年、年間400トン以上のゴミを除去している。

  • プラスチックボトル、ポリ袋、ゴム風船おもちゃ、野球ボール、剪定枝などは、全て、水路の浮遊ゴミになったり、大きすぎて除去できずに放置されているものとなっている。数十年前は、ソファーや冷蔵庫など粗大ごみがもっとあったが、今では、そんなゴミの除去は、この浮遊ゴミ除去船で除去してしまっている。しかし今でも時には、生きたシカを引き上げるなどとんでもないものを除去することもある。

  • このようなDC下水道の努力の結果、「DC市は、チェサピーク湾岸のどの都市よりも環境改善に貢献している」と、ある非営利団体が賞賛している。2009年、浸水防御の管網に関する評価を上げてきている。他の都市がC、D評価の低い評価の中、DC市はB+の評価を得ている。

DC水道

  • ワシントン導水路は、ポトマック川から導水し、Dalecarlia and McMillanの2つの浄水場で浄水している。

【水道管網】

  • DC水道は、ワシントン導水路で処理された水を、2,000kmの地下埋設管を通じて配水している。各家庭や事業所に配水される間ずっと、DC水道は、安全で高品質の水のみが使用者に届くよう監視している。DC水道は、浄水場から各家庭や事業者までのつながる地下管路を維持管理している。

【PFAS規制に対する連邦政府水質基準に関するワシントン導水路の見解2025/5/1】

  • ワシントン導水路は、連邦政府のPFAS規制を遵守することを決定した。2024年4月10日、連邦政府EPAは、SDWA法に基づき、PFASに関する水質規制の最終版を公表した。DC水道は、全ての必要な浄水プロセスをその規制基準に合わせることとした。我々の対策については、その対策が完了し、今後の方向も決まった段階で、改めて、公表する。
     

DC水道の各種データ

ワシントン導水路とDC水道の位置図

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